【線形代数】転置行列の定義と性質をわかりやすく解説

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機械学習や統計学において、行列を操作するときに転置行列を扱う機会は非常に多いです。

転置行列は定義は比較的、イメージで理解できますが、転置行列が満たす性質は多数あります。

今回は、転置行列の定義についてまとめたのちに、機械学習や統計学において頻出な、転置行列についての性質をわかりやすく解説していきます。

転置行列の定義

まず、転置行列の定義を示します。

転置行列の定義

行列$A$が m行 n列の次のような要素を持つ行列であるとき、

\begin{equation}
A = 
\begin{pmatrix}
a_{11} & a_{12} & \dots  & a_{1n} \\
a_{21} & a_{22} & \dots  & a_{2n} \\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots \\
a_{m1} & a_{m2} & \dots  & a_{mn} \\
\end{pmatrix}
\end{equation}

転置行列は、行列$A$の行成分と列成分を入れ替えた、n行m列の次のような行列$A^T$である。

\begin{equation}
A^T = 
\begin{pmatrix}
a_{11} & a_{21} & \dots  & a_{m1} \\
a_{12} & a_{22} & \dots  & a_{m2} \\
\vdots & \vdots & \vdots & \vdots \\
a_{n1} & a_{n2} & \dots  & a_{nm} \\
\end{pmatrix}
\end{equation}

転置行列の性質

転置行列には非常に多くの性質があり、機械学習や統計学ではこの性質を利用した式変形が非常に多く登場します。ここでは、転置行列における性質を一挙にまとめます。

転置行列の積に関する性質

転置行列の積

$m \times n$の行列$A$と、$n \times l$の行列 B の積 $AB$において、次のような交換則が成り立つ。

\begin{equation}
(AB)^T = B^TA^T
\end{equation}

この転置行列の積に関する性質は非常に登場するので、絶対に覚えておくべき転置行列の性質の1つです。

転置行列の逆行列に関する性質

転置行列の逆行列

$m \times n$の行列$A$が正則行列であるとき、逆行列$A^{-1}$が存在する。また、行列$A$の転置行列も正則行列であり、その逆行列は$(A^T)^{-1}$においては次のような式が成り立つ

\begin{equation}
(A^T)^{-1} = (A^{-1})^{T}
\end{equation}

言葉にすると、転置行列の逆行列は、逆行列の転置行列 ということになります。

転置行列の和と積に関する線形性

転置行列の和と積に関する線形性

$\alpha$を任意の実数の定数とする。このとき、行列$A$と$B$に関する転置行列において、次のような等式が成り立つ。

\begin{equation}
\begin{split}
(\alpha A)^T &= \alpha  A^T \\
(A + B)^T &= A^T + B^T
\end{split}
\end{equation}

この転置行列に関する線形性の法則も忘れがちですが、非常に多く登場するので頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

転置行列の転置行列

転置行列の転置行列

行列$A$の転置行列$A^T$の転置行列は、元の行列$A$と等しくなる。つまり、次の等式が成り立つ。

\begin{equation}
(A^T)^T =A 
\end{equation}

転置行列の転置行列は元の行列に戻るという性質です。

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