シューア補行列(Schur complement matrix)とは何ぞや、と思っていた私ですが、ガウス過程回帰(Gaussian Process)やカルマンフィルタの導出には、シューア補行列を理解する必要性があるため、必要に駆られ仕方なく理解しようと努めているメモになります。
厳密さや正確さは保証できかねますが、まとめたいと思います。
シューア補行列の定義
ブロックに分けられた、次のような行列を考えます。
\begin{equation} \begin{pmatrix} A & B \\ C & D \end{pmatrix} \end{equation}
ここで、各行列のサイズは、$A \in \mathbb{R}^{m \times m}, B \in \mathbb{R}^{m \times n}, C \in \mathbb{R}^{n \times m}, D \in \mathbb{R}^{n \times n}$とします。
ここで、(1)の元の行列と、AとDは正方行列であり、BとCは正方行列ではないことに注意してください。
このような行列に対して、シューアの補行列では次のように定義されます。
シューアの補行列の定義
(1)の行列の逆行列について次の式が成り立ち、
\begin{equation} \begin{pmatrix} A & B \\ C & D \end{pmatrix}^{-1} = \begin{pmatrix} M & -MBD^{-1} \\ -D^{-1} CM & D^{-1}CMBD \end{pmatrix} \end{equation}
ここで、次のように定義される、行列$M$をシューアの補行列という。
\begin{equation} M = (A - BD^{-1}C)^{-1} \end{equation}
カルマンフィルタやガウス過程における、多変量ガウス分布の精度行列を考える際に、この結論は非常によく用いることになるので、頭の片隅に入れておかないとですね。