アンテナの入力抵抗が 73 Ω、それを駆動する送信機の出力ケーブルが 50 Ω。この 2 つをただ直結すると、両者のインピーダンスが食い違っているために送信電力の一部がアンテナで反射され、ケーブルを逆戻りして送信機に返ってきてしまいます。反射した電力はアンテナから放射されず、送信効率の低下や、ひどい場合には送信機の故障を招きます。では、どうすれば 50 Ω のラインから 73 Ω のアンテナへ、反射なしにスムーズに電力を渡せるのでしょうか。この問いに対する、マイクロ波回路で最も古典的かつ美しい答えが「1/4波長インピーダンス変成器(quarter-wave transformer)」です。
たった一区間の伝送線路を、特性インピーダンスを 2 つの抵抗の「幾何平均」に選んで、長さを動作波長のちょうど 1/4 にするだけで、反射をぴたりとゼロにできます。レンズが光を焦点に集めるように、長さ $\lambda/4$ の線路がインピーダンスを「変換」してくれるのです。この変成器を理解すると、次のような応用への見通しが一気に開けます。
- アンテナ給電回路: ダイポールやパッチアンテナの入力インピーダンスを給電線の 50 Ω に整合させ、放射効率を最大化する
- マイクロ波増幅器・ミキサ: トランジスタの入出力インピーダンスを段間で整合し、利得とノイズ特性を最適化する
- 電力分配器・結合器: ウィルキンソン電力分配器の分岐線路は、まさに $\sqrt{2}\,Z_0$ の 1/4波長変成器で構成される
- アンテナアレイの給電網: 各素子へ等しい電力を分配する給電ツリーで多用される
本記事では、伝送線路の入力インピーダンス公式から出発し、長さ $\lambda/4$ を代入して整合条件を完全な導出付きで示します。さらに、この整合が「ある一点の周波数」でしか厳密には成り立たないという単段変成器の本質的な限界を反射係数の周波数特性として導き、それを克服する多段(二項分布・チェビシェフ)変成器の帯域拡大の原理まで踏み込みます。
本記事の内容
- インピーダンス整合の意味と、なぜ反射が生じるのかの直感的理解
- 伝送線路の入力インピーダンス公式の復習と $l = \lambda/4$ の代入
- 整合条件 $Z_1 = \sqrt{Z_S Z_L}$(幾何平均)の導出
- 周波数ずれによる反射係数 $|\Gamma(f)|$ の周波数特性と比帯域の導出
- 単段変成器の限界と、多段変成器(二項分布・チェビシェフ)による帯域拡大
- Python による $|\Gamma(f)|$ の単段・多段比較とスミスチャート上の軌跡の可視化
前提知識
この記事を読む前に、以下の記事を読んでおくと理解が深まります。
インピーダンス整合とは
なぜ反射が起きるのか
水道のホースの先に細いノズルを急につなぐと、流れが乱れて一部が逆流するような抵抗感が手に伝わります。電気の世界でも似たことが起こります。特性インピーダンス $Z_0$ の伝送線路を伝わってきた電圧・電流の波が、末端で $Z_0$ とは異なる負荷 $Z_L$ にぶつかると、負荷の場所で「電圧と電流の比」を $Z_L$ に合わせなければならないという制約が生じます。ところが、進行波だけでは電圧と電流の比は必ず $Z_0$ になってしまいます。この食い違いを埋めるために、負荷から線路を逆向きに進む「反射波」が必然的に発生するのです。
反射の大きさを表すのが反射係数 $\Gamma$ で、負荷端では次のように定義されます。
$$ \Gamma_L = \frac{Z_L – Z_0}{Z_L + Z_0} $$
$Z_L = Z_0$ のときだけ $\Gamma_L = 0$、すなわち反射ゼロになります。これがインピーダンス整合の最も基本的な姿です。負荷が線路の特性インピーダンスにぴたりと一致していれば、波はそのまま負荷に吸い込まれて反射しません。
整合が崩れると何が困るのか
反射が起きると、進行波と反射波が線路上で重なって定在波(standing wave)を作ります。場所によって電圧が大きくなったり小さくなったりするムラが生じ、その最大値と最小値の比を電圧定在波比(VSWR)と呼びます。反射が大きいほど VSWR は大きくなり、送信機から見たインピーダンスも周波数や線路長によって激しく変動します。電力の観点でいえば、反射係数 $|\Gamma|$ の負荷に向かって送った電力のうち、$|\Gamma|^2$ の割合が反射して戻ってきてしまい、負荷に渡るのは $1 – |\Gamma|^2$ だけです。
問題は、現実の負荷(アンテナ、トランジスタ、検波ダイオードなど)のインピーダンスが、給電線の標準値である 50 Ω とは一致しないことがほとんどだという点です。そこで、線路と負荷の間に「整合回路」を挿入し、線路から見たインピーダンスが $Z_0$ に見えるように変換します。整合回路にはいろいろな形式がありますが、最もシンプルで設計式が美しいのが、本記事の主役である 1/4波長変成器です。
ここで自然な疑問が生まれます。長さがちょうど波長の 1/4 の線路を 1 区間挟むだけで、なぜインピーダンスが変換できるのでしょうか。その鍵は、伝送線路の「入力インピーダンス公式」に隠れています。まずはこの公式を復習し、$l = \lambda/4$ を代入したときに何が起こるかを見ていきましょう。
伝送線路の入力インピーダンス公式
公式の確認
長さ $l$、特性インピーダンス $Z_0$、位相定数 $\beta$ の無損失伝送線路の末端に負荷 $Z_L$ を接続したとき、線路の入力端(電源側)から見たインピーダンス $Z_{\text{in}}$ は次式で与えられます。これは 伝送線路理論 で電信方程式から導いた基本公式です。
$$ \begin{equation} Z_{\text{in}} = Z_0 \, \frac{Z_L + j Z_0 \tan\beta l}{Z_0 + j Z_L \tan\beta l} \end{equation} $$
ここで $\beta = 2\pi/\lambda$ は位相定数、$\lambda$ は線路上の波長です。この式は、負荷 $Z_L$ が線路を通して入力端では別のインピーダンス $Z_{\text{in}}$ に「見える」ことを表しています。線路の長さ $l$ や周波数($\beta$ を通して)が変わると、入力インピーダンスがどんどん姿を変えるのが伝送線路の面白さであり、難しさです。
念のため、この公式が両極端で正しい挙動を示すことを確認しておきましょう。$l \to 0$(線路が無いに等しい)のとき $\tan\beta l \to 0$ なので $Z_{\text{in}} = Z_0 \cdot Z_L / Z_0 = Z_L$ となり、負荷がそのまま見えます。これは当然の結果です。また $Z_L = Z_0$ のときは分子・分母がともに $Z_0(1 + j\tan\beta l)$ に比例し、$Z_{\text{in}} = Z_0$ となります。整合された線路は長さによらず $Z_0$ に見える、という整合のありがたさがここに表れています。
1/4波長を代入する
それでは、この変換の働きを最も劇的に引き出す特別な長さ、$l = \lambda/4$ を代入してみましょう。位相定数を使って電気長 $\beta l$ を計算すると、
$$ \beta l = \frac{2\pi}{\lambda} \cdot \frac{\lambda}{4} = \frac{\pi}{2} $$
となります。つまり 1/4波長の線路は、電気的にちょうど 90 度($\pi/2$ ラジアン)に相当します。ここで $\tan\beta l = \tan(\pi/2)$ が無限大に発散することに注目してください。このままでは公式の分子・分母がともに発散してしまうので、極限の扱いに注意が必要です。
入力インピーダンス公式の分子・分母を $\tan\beta l$ で割って整理します。分子・分母を $\tan\beta l$ で割ると、
$$ Z_{\text{in}} = Z_0 \, \frac{\dfrac{Z_L}{\tan\beta l} + j Z_0}{\dfrac{Z_0}{\tan\beta l} + j Z_L} $$
という形になります。ここで $\beta l \to \pi/2$ の極限を取ると、$\tan\beta l \to \infty$ なので $1/\tan\beta l \to 0$ となり、$Z_L/\tan\beta l$ と $Z_0/\tan\beta l$ の項がともに消えます。残るのは、
$$ Z_{\text{in}} = Z_0 \, \frac{j Z_0}{j Z_L} = \frac{Z_0^2}{Z_L} $$
という、驚くほどシンプルな式です。整理すると、長さ $\lambda/4$ の線路の入力インピーダンスは、
$$ \begin{equation} \boxed{\,Z_{\text{in}} = \frac{Z_0^2}{Z_L}\,} \end{equation} $$
となります。負荷インピーダンスが「反比例」の形で変換され、しかも変換の度合いは線路の特性インピーダンス $Z_0$ の 2 乗で決まります。$Z_L$ が小さければ $Z_{\text{in}}$ は大きく、$Z_L$ が大きければ $Z_{\text{in}}$ は小さくなる — まるでてこ(レバー)のように、$\lambda/4$ 線路がインピーダンスを反転変換するのです。この性質を「インピーダンス反転器(impedance inverter)」と呼ぶこともあります。
この $Z_{\text{in}} = Z_0^2 / Z_L$ という関係こそ、1/4波長変成器のすべての出発点です。次は、この式を使って「線路から負荷が反射なしで見えるためには、変成器の特性インピーダンスをいくつにすればよいか」という整合条件を導きます。
整合条件の導出 — 幾何平均
整合のセットアップ
整合させたい状況を具体的に設定しましょう。電源側には特性インピーダンス $Z_S$ の主線路(たとえば 50 Ω の給電線)があり、その先に純抵抗負荷 $Z_L = R_L$(たとえば 100 Ω のアンテナ抵抗)を整合させたいとします。この 2 つの間に、特性インピーダンス $Z_1$、長さ $\lambda/4$ の変成器を 1 区間挿入します。
整合が達成されるとは、主線路 $Z_S$ から変成器の入力端を見たときのインピーダンス $Z_{\text{in}}$ が、ちょうど $Z_S$ に等しくなることです。そうなれば主線路上で反射係数がゼロになり、定在波が立たなくなります。
整合条件を解く
前節で導いた $\lambda/4$ 線路の入力インピーダンス公式を、変成器(特性インピーダンス $Z_1$、負荷 $Z_L$)に適用します。変成器の入力インピーダンスは、
$$ Z_{\text{in}} = \frac{Z_1^2}{Z_L} $$
です。整合条件 $Z_{\text{in}} = Z_S$ を課すと、
$$ \frac{Z_1^2}{Z_L} = Z_S $$
この式を変成器の特性インピーダンス $Z_1$ について解きます。両辺に $Z_L$ を掛けて $Z_1^2 = Z_S Z_L$ とし、平方根を取ると、
$$ \begin{equation} \boxed{\,Z_1 = \sqrt{Z_S Z_L}\,} \end{equation} $$
が得られます。変成器の特性インピーダンス $Z_1$ は、整合したい 2 つの抵抗 $Z_S$ と $Z_L$ の 幾何平均(相乗平均)に等しく選べばよい、という極めて簡潔な設計式です。
なぜ幾何平均なのか
算術平均 $(Z_S + Z_L)/2$ ではなく幾何平均 $\sqrt{Z_S Z_L}$ になるのは、$\lambda/4$ 線路が「反比例変換」をするからです。直感的に言えば、変成器は $Z_L$ を $Z_1^2/Z_L$ に持ち上げ(または押し下げ)ます。$Z_1$ を $Z_S$ と $Z_L$ のちょうど真ん中(対数スケールでの中点)に置くと、片側を持ち上げる比と、もう片側へ渡す比が等しくなり、両端がきれいに橋渡しされるのです。対数で見ると $\log Z_1 = (\log Z_S + \log Z_L)/2$ となり、$Z_1$ は $Z_S$ と $Z_L$ の対数軸上の中点であることがわかります。
具体的な数値で確かめましょう。$Z_S = 50\,\Omega$ の線路から $Z_L = 100\,\Omega$ の負荷に整合させるなら、
$$ Z_1 = \sqrt{50 \times 100} = \sqrt{5000} \approx 70.7\,\Omega $$
となり、変成器には $70.7\,\Omega$ の線路を使えばよいことがわかります。実際、$Z_{\text{in}} = Z_1^2/Z_L = 5000/100 = 50\,\Omega = Z_S$ となり、確かに整合します。同様に、$50\,\Omega$ から $73\,\Omega$ のダイポールアンテナへ整合するなら $Z_1 = \sqrt{50 \times 73} \approx 60.4\,\Omega$ です。
純抵抗負荷という前提
ここで一つ大切な注意があります。整合条件 $Z_1 = \sqrt{Z_S Z_L}$ は、負荷 $Z_L$ が純抵抗(実数) である場合にそのまま成り立ちます。変成器の特性インピーダンス $Z_1$ は無損失線路では実数なので、$Z_1^2/Z_L$ が実数 $Z_S$ になるには $Z_L$ も実数でなければならないからです。負荷が複素インピーダンス $Z_L = R_L + jX_L$ の場合は、まず直列リアクタンスやスタブで虚部を打ち消して実数にしてから 1/4波長変成器をかけるか、変成器を負荷から少し離れた「電圧定在波の最大点・最小点(インピーダンスが実数になる点)」に挿入する、といった工夫が必要になります。本記事ではアンテナ抵抗のような純抵抗負荷を主な対象とします。
整合条件が一点の周波数(変成器が厳密に $\lambda/4$ になる周波数)で完璧に成り立つことはわかりました。しかし、現実の信号は帯域を持ちます。周波数が設計値からずれると、線路長は $\lambda/4$ からずれてしまいます。次は、この周波数ずれが反射係数にどう効いてくるかを定量的に調べ、単段変成器の帯域幅を導きましょう。
反射係数の周波数特性と帯域幅
周波数がずれると何が起こるか
変成器の物理的な長さ $l$ は、設計周波数 $f_0$ における波長 $\lambda_0$ の 1/4、すなわち $l = \lambda_0/4$ に固定して作ります。ところが動作周波数が $f$ に変わると、波長は $\lambda = v/f$($v$ は線路上の伝搬速度)に変化するので、同じ物理長 $l$ に対する電気長は、
$$ \beta l = \frac{2\pi}{\lambda} l = \frac{2\pi f}{v}\cdot\frac{v}{4 f_0} = \frac{\pi}{2}\cdot\frac{f}{f_0} $$
となります。$f = f_0$ のときだけ $\beta l = \pi/2$ で厳密な $\lambda/4$ になり、それ以外では電気長が 90 度からずれます。電気長がずれると $Z_{\text{in}} = Z_0^2/Z_L$ の近似が崩れ、入力端で反射が現れます。
入力反射係数の導出
主線路 $Z_S$ から変成器入力端を見た反射係数 $\Gamma$ は、入力インピーダンス $Z_{\text{in}}$ を使って、
$$ \Gamma = \frac{Z_{\text{in}} – Z_S}{Z_{\text{in}} + Z_S} $$
で与えられます。一般の電気長 $\theta \equiv \beta l$ における変成器の入力インピーダンスは、入力インピーダンス公式そのままで、
$$ Z_{\text{in}} = Z_1 \, \frac{Z_L + j Z_1 \tan\theta}{Z_1 + j Z_L \tan\theta} $$
です。これを反射係数の式に代入し、整合条件 $Z_1 = \sqrt{Z_S Z_L}$(すなわち $Z_1^2 = Z_S Z_L$)を使って整理すると、見通しのよい形に変形できます。途中の代数はやや込み入りますが、結果として反射係数の大きさは次の閉じた式で表せます(教科書 Pozar などで標準的な結果)。
$$ |\Gamma| = \frac{|Z_L – Z_S|}{\sqrt{(Z_L + Z_S)^2 + 4 Z_S Z_L \tan^2\theta}} $$
この式の構造を読み解きましょう。$\theta = \pi/2$(設計周波数)では $\tan\theta \to \infty$ となり、分母が無限大、したがって $|\Gamma| = 0$ です。確かに設計周波数では完全整合します。一方、$\theta$ が $\pi/2$ から離れると $\tan\theta$ が有限になり、$|\Gamma|$ がゼロから立ち上がります。$\theta \to 0$(直流極限)では $\tan\theta \to 0$ となり、分母が $Z_L + Z_S$ に近づくので、
$$ |\Gamma|_{\theta\to 0} = \frac{|Z_L – Z_S|}{Z_L + Z_S} $$
となります。これは変成器が無い(線路長ゼロ)ときの素の反射係数に一致し、物理的に正しい極限です。
設計周波数近傍の近似
帯域幅を見積もるため、設計周波数の近く $\theta \approx \pi/2$ での振る舞いを調べます。$\sec\theta = 1/\cos\theta$ を使うと、上の式は $1 + \tan^2\theta = \sec^2\theta$ の関係から書き換えられます。$\tan^2\theta = \sec^2\theta – 1$ を代入すると、分母の根号内は $(Z_L – Z_S)^2 + 4Z_S Z_L \sec^2\theta$ となり、
$$ |\Gamma| = \frac{|Z_L – Z_S|}{\sqrt{(Z_L – Z_S)^2 + 4 Z_S Z_L \sec^2\theta}} $$
と整理できます($(Z_L+Z_S)^2 – 4Z_SZ_L = (Z_L-Z_S)^2$ を使いました)。設計周波数の近くでは $4Z_S Z_L \sec^2\theta \gg (Z_L – Z_S)^2$ が成り立つ(整合がほぼ取れている領域)と仮定すると、分母の第 1 項を無視できて、
$$ |\Gamma| \approx \frac{|Z_L – Z_S|}{2\sqrt{Z_S Z_L}}\,|\cos\theta| $$
という近似式が得られます。反射係数の大きさは $|\cos\theta|$ に比例して周波数とともに変化することがわかります。$\theta = \pi/2$ で $\cos\theta = 0$、つまり完全整合、そこから離れるほど線形に近い形で $|\Gamma|$ が増加します。
比帯域の導出
実用では「反射係数がある許容値 $\Gamma_m$ 以下に収まる周波数範囲」を帯域幅と定義します。$|\Gamma| = \Gamma_m$ となる電気長 $\theta_m$ を求めると、近似式から、
$$ \cos\theta_m = \frac{2\sqrt{Z_S Z_L}}{|Z_L – Z_S|}\,\Gamma_m $$
帯域は設計周波数 $\theta = \pi/2$ を中心に対称に広がるので、帯域端は $\theta_m$ と $\pi – \theta_m$ です。$\theta = (\pi/2)(f/f_0)$ の関係から、下側帯域端の周波数 $f_1$ は $\theta_m = (\pi/2)(f_1/f_0)$ より $f_1 = (2 f_0/\pi)\theta_m$ で与えられます。比帯域(fractional bandwidth)$\Delta f / f_0$ は、対称性から $f_0 – f_1$ の 2 倍を $f_0$ で割って、
$$ \frac{\Delta f}{f_0} = 2 – \frac{4}{\pi}\theta_m = 2 – \frac{4}{\pi}\cos^{-1}\!\left(\frac{\Gamma_m}{\sqrt{1 – \Gamma_m^2}}\frac{2\sqrt{Z_S Z_L}}{|Z_L – Z_S|}\right) $$
という標準的な比帯域の公式が得られます(厳密な式では $\Gamma_m$ の補正項が入りますが、本質は同じです)。
この式から、重要な定性的結論が 2 つ読み取れます。第一に、整合させたい 2 つのインピーダンスの比 $Z_L/Z_S$ が 1 に近い(変換比が小さい)ほど $|Z_L – Z_S|$ が小さくなり、$\cos^{-1}$ の引数が大きくなって $\theta_m$ が $\pi/2$ に近づき、比帯域は広くなります。逆に、大きなインピーダンス比を 1 段で変換しようとすると帯域は狭くなります。第二に、許容反射 $\Gamma_m$ を緩める(大きくする)ほど帯域は広がります。
これが単段 1/4波長変成器の本質的な限界です。1 段では、設計周波数の一点でしか完全整合できず、広い帯域や大きなインピーダンス比を要求されると性能が足りません。次節では、この限界を打ち破る「多段変成器」の考え方を見ていきます。
多段変成器による帯域拡大
段を重ねるという発想
大きな段差を一気に飛び降りるより、階段で少しずつ降りる方が衝撃が小さいのと同じ発想です。$Z_S$ から $Z_L$ へ一足飛びに変換する代わりに、特性インピーダンスを少しずつ変えた $\lambda/4$ 線路を $N$ 段つなげ、各段で小さなインピーダンス比だけを受け持たせれば、各段の反射が小さくなり、しかもそれらが周波数に対して打ち消し合うように設計できます。これが多段(multisection)1/4波長変成器です。
$N$ 段変成器の各接続点で生じる小反射 $\Gamma_n$(第 $n$ 段の境界での部分反射)を考えると、設計周波数からのずれ $\theta$ における全体の入力反射係数は、各反射が往復の位相 $e^{-2jn\theta}$ を伴って重ね合わさるとして、小反射近似のもとで次のように書けます。
$$ \Gamma(\theta) \approx \Gamma_0 + \Gamma_1 e^{-2j\theta} + \Gamma_2 e^{-4j\theta} + \cdots + \Gamma_N e^{-2jN\theta} $$
これは、各接続点の部分反射 $\Gamma_n$ を係数とする $e^{-2j\theta}$ の多項式(フーリエ級数)です。つまり、反射係数の周波数特性は、各段の反射量 $\Gamma_n$ をどう配分するかで自由に整形できるという、フィルタ設計と同じ問題に帰着します。これは多段変成器の核心です。
二項分布(最大平坦)変成器
設計周波数 $\theta = \pi/2$ の近くで $|\Gamma|$ がなるべく平坦(微分が次々にゼロ)になるようにしたいなら、各段の反射係数を二項係数に比例して配分します。すなわち、
$$ \Gamma_n = 2^{-N}\binom{N}{n}\,\frac{Z_L – Z_S}{Z_L + Z_S} $$
このとき全体の反射係数は、
$$ |\Gamma(\theta)| = 2^{-N}\left|\frac{Z_L – Z_S}{Z_L + Z_S}\right| |\cos\theta|^N $$
という形になります。$|\cos\theta|^N$ は設計周波数で $N$ 階までの微分がすべてゼロになるため、応答が「最大平坦(maximally flat, バターワース型)」になります。設計周波数の近傍では極めて平坦で、整合が非常に良い一方、帯域端に向けてなだらかに反射が増えていきます。各段の特性インピーダンスは、$\ln Z_{n+1} – \ln Z_n \approx 2\Gamma_n$ という近似式から対数スケールで順に計算できます。
チェビシェフ(等リップル)変成器
より広い帯域が欲しい場合は、二項分布の「平坦さ」を犠牲にして、帯域全体で反射を許容値 $\Gamma_m$ 以下に均等に抑える設計が有利です。これがチェビシェフ変成器で、反射係数をチェビシェフ多項式 $T_N$ を使って、
$$ |\Gamma(\theta)| = A\,\left|T_N\!\left(\frac{\cos\theta}{\cos\theta_m}\right)\right| $$
の形に整形します。チェビシェフ多項式 $T_N(x)$ は区間 $|x| \le 1$ で $\pm 1$ の間を等振幅で振動する性質を持つため、通過帯域内で反射が $\Gamma_m$ を上限とする「等リップル(equal-ripple)」特性になります。同じ段数で比較すると、チェビシェフ型は二項型よりも広い帯域を、規定の反射レベル以下で実現できます。代償として、通過帯域内に小さなリップル(反射のさざ波)が残ります。係数 $A$ は直流極限 $\theta = 0$ で素の反射に一致するよう、$A = (Z_L-Z_S)/(Z_L+Z_S)/T_N(1/\cos\theta_m)$ と決めます。
二項型とチェビシェフ型の選択は、「平坦さ重視か、帯域幅重視か」というフィルタ設計でおなじみのトレードオフそのものです。次のセクションでは、これらの理論式を Python で実装し、単段・多段の反射係数特性を実際に比較し、さらにスミスチャート上で整合点へ向かう軌跡を可視化して、設計の効果を目で確かめましょう。
Python による可視化
単段変成器の反射係数の周波数特性
まず、単段 1/4波長変成器の反射係数 $|\Gamma(f)|$ を周波数の関数として計算し、変成器が無い場合(直結)と比較します。$Z_S = 50\,\Omega$ から $Z_L = 100\,\Omega$ への整合を例にします。前節で導いた厳密な反射係数式をそのまま使います。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
# 整合させたいインピーダンス
ZS = 50.0 # 主線路(電源側)[Ω]
ZL = 100.0 # 純抵抗負荷 [Ω]
# 単段変成器の特性インピーダンス = 幾何平均
Z1 = np.sqrt(ZS * ZL)
print(f"変成器の特性インピーダンス Z1 = {Z1:.2f} Ω")
# 規格化周波数 f/f0(f0で電気長 = 90度)
f_ratio = np.linspace(0.0, 2.0, 600)
theta = (np.pi / 2) * f_ratio # 電気長 βl = (π/2)(f/f0)
def gamma_single(Z1, ZS, ZL, theta):
"""単段変成器の入力反射係数の大きさ |Γ|"""
# 変成器の入力インピーダンス(一般の電気長 theta)
Zin = Z1 * (ZL + 1j * Z1 * np.tan(theta)) / (Z1 + 1j * ZL * np.tan(theta))
Gamma = (Zin - ZS) / (Zin + ZS)
return np.abs(Gamma)
# 変成器あり / なし(直結)の反射係数
G_match = gamma_single(Z1, ZS, ZL, theta)
G_direct = np.full_like(f_ratio, abs((ZL - ZS) / (ZL + ZS))) # 直結(周波数によらず一定)
plt.figure(figsize=(9, 5))
plt.plot(f_ratio, G_match, 'b-', lw=2, label='λ/4 transformer')
plt.plot(f_ratio, G_direct, 'r--', lw=2, label='Direct connection (no transformer)')
plt.axvline(1.0, color='gray', ls=':', label='Design freq. $f_0$')
plt.xlabel('Normalized frequency $f/f_0$')
plt.ylabel('Reflection coefficient $|\\Gamma|$')
plt.title('Single-section quarter-wave transformer (50 Ω → 100 Ω)')
plt.legend()
plt.grid(alpha=0.3)
plt.tight_layout()
plt.savefig('qwt_single.png', dpi=150, bbox_inches='tight')
plt.show()
このグラフから、いくつかの重要なことが読み取れます。第一に、変成器あり(青実線)の $|\Gamma|$ は設計周波数 $f/f_0 = 1$ でちょうどゼロに落ち込み、完全整合が実現していることが確認できます。導出した整合条件 $Z_1 = \sqrt{Z_S Z_L} \approx 70.7\,\Omega$ が正しいことの数値的な裏付けです。第二に、設計周波数から離れると $|\Gamma|$ は両側に対称的に立ち上がり、$f \to 0$ や $f \to 2f_0$ では直結時(赤破線)の反射 $|Z_L-Z_S|/(Z_L+Z_S) = 1/3 \approx 0.33$ に漸近します。これは単段変成器が「一点の周波数でしか厳密に効かない」という限界を、まさに目で見える形で示しています。
インピーダンス比と帯域幅の関係
次に、整合させるインピーダンス比 $Z_L/Z_S$ を変えると帯域幅がどう変化するかを調べます。導出で予言した「変換比が大きいほど帯域は狭くなる」という性質を確認します。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
ZS = 50.0
f_ratio = np.linspace(0.0, 2.0, 600)
theta = (np.pi / 2) * f_ratio
def gamma_single(Z1, ZS, ZL, theta):
Zin = Z1 * (ZL + 1j * Z1 * np.tan(theta)) / (Z1 + 1j * ZL * np.tan(theta))
return np.abs((Zin - ZS) / (Zin + ZS))
plt.figure(figsize=(9, 5))
for ZL in [75.0, 100.0, 200.0, 400.0]:
Z1 = np.sqrt(ZS * ZL)
G = gamma_single(Z1, ZS, ZL, theta)
plt.plot(f_ratio, G, lw=2, label=f'$Z_L$ = {ZL:.0f} Ω (ratio {ZL/ZS:.0f})')
plt.axhline(0.1, color='gray', ls=':', label='$\\Gamma_m$ = 0.1')
plt.xlabel('Normalized frequency $f/f_0$')
plt.ylabel('Reflection coefficient $|\\Gamma|$')
plt.title('Effect of impedance ratio on bandwidth (single section)')
plt.legend()
plt.grid(alpha=0.3)
plt.tight_layout()
plt.savefig('qwt_ratio.png', dpi=150, bbox_inches='tight')
plt.show()
このグラフから、インピーダンス比 $Z_L/Z_S$ が大きくなるほど反射係数のカーブが鋭く(急峻に)立ち上がり、許容反射 $\Gamma_m = 0.1$(点線)を下回る帯域幅が狭くなることがはっきり読み取れます。比 1.5($Z_L = 75\,\Omega$)では広い帯域で整合が取れているのに対し、比 8($Z_L = 400\,\Omega$)では設計周波数のごく近傍でしか整合しません。これは前節の比帯域公式で、$|Z_L – Z_S|$ が大きいと $\cos^{-1}$ の引数が小さくなり $\theta_m$ が $\pi/2$ から離れて帯域が狭まる、という解析結果と完全に一致します。大きなインピーダンス比を広帯域で整合したいなら、単段では力不足であり、多段が必要になるのです。
単段・二項・チェビシェフの比較
それでは、多段化によって本当に帯域が広がるかを確かめましょう。単段、3 段二項分布、3 段チェビシェフの 3 つを同じ $50\,\Omega \to 100\,\Omega$ 整合で比較します。多段の反射係数は、各接続点の部分反射 $\Gamma_n$ を重ね合わせる小反射理論の式で計算します。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
from numpy.polynomial import chebyshev as C
from math import comb
ZS, ZL = 50.0, 100.0
f_ratio = np.linspace(0.0, 2.0, 800)
theta = (np.pi / 2) * f_ratio
# --- 単段 ---
Z1 = np.sqrt(ZS * ZL)
Zin = Z1 * (ZL + 1j*Z1*np.tan(theta)) / (Z1 + 1j*ZL*np.tan(theta))
G_single = np.abs((Zin - ZS) / (Zin + ZS))
# --- 3段 二項分布(最大平坦)---
N = 3
G_bino = 2.0**(-N) * abs((ZL - ZS) / (ZL + ZS)) * np.abs(np.cos(theta))**N
# --- 3段 チェビシェフ(等リップル, θm=55°)---
theta_m = np.deg2rad(55.0)
sec_m = 1.0 / np.cos(theta_m)
A = abs((ZL - ZS) / (ZL + ZS)) / abs(np.cos(N * np.arccos(sec_m + 0j)))
x = np.cos(theta) / np.cos(theta_m)
# T_N(x): |x|>1 では cosh 表現になるため複素 arccos で評価
TN = np.real(np.cos(N * np.arccos(x + 0j)))
G_cheby = A * np.abs(TN)
ここまでで 3 種類の反射係数を計算しました。単段は厳密な入力インピーダンス式、二項とチェビシェフは小反射理論に基づく $|\cos\theta|^N$ とチェビシェフ多項式の式を使っています。チェビシェフでは $\cos\theta/\cos\theta_m$ の絶対値が 1 を超える領域があるため、複素 arccos を経由して多項式を評価しています。続けてプロットします。
plt.figure(figsize=(9, 5))
plt.plot(f_ratio, G_single, 'b-', lw=2, label='Single section')
plt.plot(f_ratio, G_bino, 'g--', lw=2, label='3-section binomial')
plt.plot(f_ratio, G_cheby, 'm-.', lw=2, label='3-section Chebyshev')
plt.axhline(0.05, color='gray', ls=':', label='$\\Gamma_m$ = 0.05')
plt.xlabel('Normalized frequency $f/f_0$')
plt.ylabel('Reflection coefficient $|\\Gamma|$')
plt.title('Single vs. multisection transformers (50 Ω → 100 Ω)')
plt.ylim(0, 0.35)
plt.legend()
plt.grid(alpha=0.3)
plt.tight_layout()
plt.savefig('qwt_multisection.png', dpi=150, bbox_inches='tight')
plt.show()
このグラフは多段化の効果を雄弁に物語っています。第一に、単段(青)は設計周波数で鋭く落ち込むものの、少し離れるとすぐに反射が立ち上がります。第二に、3 段二項分布(緑破線)は設計周波数の周りで非常に平坦に $|\Gamma| \approx 0$ が続き、最大平坦特性が実現していることがわかります。第三に、3 段チェビシェフ(マゼンタ一点鎖線)は通過帯域内に小さなリップルを持ちますが、その分、許容反射 $\Gamma_m = 0.05$(点線)以下を保てる帯域が二項型よりさらに広くなっています。これは「平坦さを犠牲にして帯域を稼ぐ」という等リップル設計の狙い通りの結果です。段数を増やすほど、いずれの方式でも帯域はさらに広がります。
スミスチャート上の整合の軌跡
最後に、1/4波長変成器が負荷インピーダンスをどのように整合点(チャート中心)へ動かすかを、スミスチャート上の軌跡として可視化します。スミスチャートは反射係数平面(複素 $\Gamma$ 平面)上にインピーダンスを描いたもので、中心が整合点 $\Gamma = 0$ に対応します。詳しくは スミスチャートの基礎 を参照してください。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
ZS, ZL = 50.0, 100.0
Z1 = np.sqrt(ZS * ZL) # 変成器の特性インピーダンス
# 設計周波数で電気長を 0 → π/2 まで動かしたときの入力インピーダンス軌跡
theta = np.linspace(0, np.pi/2, 200)
Zin = Z1 * (ZL + 1j*Z1*np.tan(theta)) / (Z1 + 1j*ZL*np.tan(theta))
# 主線路 ZS で規格化した反射係数(スミスチャート座標)
Gamma = (Zin - ZS) / (Zin + ZS)
fig, ax = plt.subplots(figsize=(7, 7))
# スミスチャートの外周(|Γ|=1)と中心
ang = np.linspace(0, 2*np.pi, 400)
ax.plot(np.cos(ang), np.sin(ang), 'k-', lw=1)
ax.plot(0, 0, 'k+', ms=12)
# 定抵抗・定リアクタンス円を簡易表示
for r in [0.5, 1, 2]:
cx, rad = r/(1+r), 1/(1+r)
ax.plot(cx + rad*np.cos(ang), rad*np.sin(ang), 'gray', lw=0.5, alpha=0.6)
# 軌跡
ax.plot(Gamma.real, Gamma.imag, 'b-', lw=2.5, label='Locus along λ/4 line')
ax.plot(Gamma.real[0], Gamma.imag[0], 'ro', ms=9, label='Load $Z_L$ (θ=0)')
ax.plot(Gamma.real[-1], Gamma.imag[-1], 'g*', ms=16, label='Matched (θ=π/2)')
ax.set_aspect('equal')
ax.set_xlim(-1.1, 1.1); ax.set_ylim(-1.1, 1.1)
ax.set_title('Smith chart: locus moving to the matched center')
ax.legend(loc='upper right')
ax.axis('off')
plt.tight_layout()
plt.savefig('qwt_smith.png', dpi=150, bbox_inches='tight')
plt.show()
このスミスチャートから、変成器の働きが幾何学的に一目でわかります。電気長 $\theta = 0$ の出発点(赤丸)は負荷 $Z_L = 100\,\Omega$ を $Z_S = 50\,\Omega$ で規格化した点で、中心から右にずれています(規格化抵抗 2 に対応)。線路長を $\lambda/4$ まで伸ばすにつれて青い軌跡が円弧を描き、$\theta = \pi/2$ でちょうどチャートの中心(緑星)、すなわち $\Gamma = 0$ の完全整合点に到達します。$\lambda/4$ 線路は、スミスチャート上で点を「中心を通る直径に対して反転させる」働きを持ち、特性インピーダンスを幾何平均に選ぶことで、ちょうど反転先が中心になるように調整されているのです。これが整合条件 $Z_1 = \sqrt{Z_S Z_L}$ の幾何学的な意味です。
まとめ
本記事では、1/4波長インピーダンス変成器について、伝送線路の入力インピーダンス公式からの導出、帯域幅の評価、多段化による帯域拡大までを通して解説しました。
- 入力インピーダンス公式に $l = \lambda/4$($\beta l = \pi/2$)を代入すると、$Z_{\text{in}} = Z_0^2/Z_L$ という反比例変換(インピーダンス反転)が得られる
- 整合条件は $Z_1 = \sqrt{Z_S Z_L}$、すなわち変成器の特性インピーダンスを 2 つの抵抗の幾何平均に選ぶこと。対数スケールで見ると $Z_1$ は $Z_S$ と $Z_L$ の中点である
- 反射係数の周波数特性 $|\Gamma| \approx \frac{|Z_L-Z_S|}{2\sqrt{Z_S Z_L}}|\cos\theta|$ から、整合は設計周波数の一点でのみ完全で、インピーダンス比が大きいほど帯域が狭くなる
- 多段変成器(二項分布=最大平坦、チェビシェフ=等リップル)を使えば、各段の部分反射を整形して帯域を大幅に拡大できる。これはフィルタ設計と同型の問題である
- スミスチャート上では、$\lambda/4$ 線路が負荷点を中心(整合点)へ運ぶ軌跡として整合の様子を可視化できる
1/4波長変成器は、マイクロ波回路における整合という大きなテーマの入り口です。複素負荷を扱うにはスタブ整合や集中定数素子による L 型整合回路が必要になり、より広帯域・高性能な設計にはここで触れた多段チェビシェフ変成器やテーパ線路(連続的にインピーダンスを変える線路)へと発展します。これらはすべて、本記事で導いた「反射係数を周波数の関数として整形する」という共通の視点でつながっています。
次のステップとして、以下の記事も参考にしてください。