カルマンフィルタ や逐次ベイズ推定といった手法を用いる際、正規分布の事前分布と尤度関数を掛け合わせ、事後分布を得るというような計算をすることになる。単変量のガウス関数の場合、2つの正規分布をかけ合わせると、新しい平均と分散を有する正規分布になることは、こちらの記事で解説した。
今回は、多変量ガウス分布を掛け合わせるとどうなるかについて書いていく。もし記事の内容がわからなかったら、先に単変量(正規分布)の記事を見ると良いだろう。
2つの頃なる多変量ガウス分布の積
まず最初に結論から書いていく。
まず、パラメタとして、平均・分散共分散がそれぞれ$\bm{μ}, \bm{\Sigma}$によって表される多変量ガウス分布は下記にような確率密度関数をとる。
\begin{equation} \mathcal{N}(\bm{x}|\bm{μ}, \bm{\Sigma}) = \frac{1}{(2\pi)^{2/D} |\Sigma|^{1/2}} exp\biggl\{ -\frac{1}{2}(\bm{x}-\bm{μ})^T\Sigma^{-1}(\bm{x}-\bm{μ}) \biggr\} \end{equation}
ここで、今回、$\bm{μ_1}, \bm{\Sigma_1}$と、$\bm{μ_2}, \bm{\Sigma_2}$の平均・分散共分散をとる2つのガウス分布を考える。
\mathcal{N_1}(\bm{x}|\bm{μ_1}, \bm{\Sigma_1}) \\ \mathcal{N_2}(\bm{x}|\bm{μ_2}, \bm{\Sigma_2}) \\
この時、$\mathcal{N_1}$と$\mathcal{N_2}$を掛け合わせると、新しい確率分布は、下記のような平均と分散共分散を有するガウス分布になる。
μ = \Sigma_2(\Sigma_1 + \Sigma_2)^{-1}μ_1 + \Sigma_1(\Sigma_1 + \Sigma_2)^{-1}μ_2 \\ \Sigma = \Sigma_1(\Sigma_1 + \Sigma_2)^{-1}\Sigma_2