大学数学ではよく「線形性」という言葉が登場します。
あまりに頻繁に登場するのですが、実際にどのような意味を持っているのか意外と理解していない人も多いと思います。今回は、この線形性という言葉が持つ意味について解説します。
線形性の定義
まず、線形性の定義を紹介します。難しい言葉ですが、この後に簡単に解説していくので、安心してください。
線形性の定義はこのようになっています。
線形性の定義
ある写像$f$に対し、任意の実数$x, y, a$に対し、次の2つの等式が成り立つとき、写像$f$は線形性をもつという。
\begin{equation} f(x + y) = f(x) + f(y) \end{equation}
\begin{equation} f(ax) = af(x) \end{equation}
ここで写像という言葉を使いましたが、難しく考える必要はありません。
写像は入力を何らかの規則に則り、ある別の形に出力する関数のことを指しており、いわゆる四則演算も含め、何かしらの演算だと思ってください。
線形性を有する演算の例
大学数学等で、線形性を有する演算としてよく登場するのが、微分・積分、そして、確率・統計分野の期待値の演算があります。具体的に、代表的な線形性を持つ演算を列挙します。
線形性を有する演算の例
- 微分
- 積分
- $\Sigma$計算
- 確率変数の期待値
- ベクトルの内積
- ベクトルの一次変換
- 極限
これらで挙げた演算は、先ほど提示した線形性の性質(1)(2)を満たしています。