【LaTeX】積分記号の書き方まとめ|∫ ∬ ∮ 定積分・重積分・線積分をコピペ実例で解説

積分は微積分学の根幹であり、理工系のあらゆる場面で登場します。物理学で仕事量やエネルギーを求めるとき、確率論で確率密度関数を積分して確率を計算するとき、電磁気学でガウスの法則を書くとき――これらすべてに積分記号が必要です。

LaTeXで積分を書く方法は見た目ほど難しくありませんが、定積分・不定積分・重積分・線積分・面積分・周回積分と種類が多いため、体系的に整理しておくと便利です。

LaTeXの積分記号の全体マップ

覚えるべきことは6グループに分かれます。①〜③が「記号そのもの」の選択、④〜⑥が「その記号にどう飾りを付けるか」です。この分け方で見ると、実質は \int \iint \iiint \oint の4つを覚えて、あとは上下限の付け方を知るだけだと分かります。

本記事の内容

  • まず結論:積分記号の逆引き早見表(コピペ用)
  • 記号そのものをコピペしたいとき(Unicode 一覧)
  • 不定積分と定積分の基本的な書き方
  • 上下限の位置調整(既定・\limits・インライン)
  • 重積分(二重積分・三重積分)
  • 線積分・面積分・体積積分
  • 周回積分記号と向きの約束
  • dx の前のスペーシングと d の書体
  • KaTeX 互換とよくある間違い

まず結論:積分記号LaTeXコマンド逆引き早見表

細かい解説の前に、「この記号を出したい」から逆引きできる表を置いておきます。急いでいる方はここからコピペしてください。

出したいもの LaTeX コマンド 表示例
積分記号 \int $\int$
不定積分 \int f(x) \, dx $\int f(x) \, dx$
定積分 \int_a^b f(x) \, dx $\int_a^b f(x) \, dx$
$0$ から無限大 \int_0^\infty $\int_0^\infty$
上下限を真上・真下 \int\limits_a^b 記号の真上と真下に付く
二重積分 \iint_D $\iint_D$
三重積分 \iiint_V $\iiint_V$
$n$ 重積分 \idotsint 積分記号の間にドット
周回積分(閉曲線) \oint_C $\oint_C$
閉曲面上の面積分 \oiint_S $\oiint_S$
評価記号 \left[ F(x) \right]_a^b $\left[ F(x) \right]_a^b$
微分要素の前の空白 \, $\int f\, dx$
立体の $d$(物理系) \mathrm{d}x $\mathrm{d}x$
線積分(ベクトル場) \int_C \bm{F} \cdot d\bm{r} $\int_C \bm{F} \cdot d\bm{r}$
面積分(ベクトル場) \iint_S \bm{F} \cdot d\bm{S} $\iint_S \bm{F} \cdot d\bm{S}$

記号そのものをコピペしたいとき

LaTeX が使えない場所——Word、Google ドキュメント、Slack、メールなど——では、記号の文字を直接貼り付けるのが早道です。

積分記号のUnicodeコピペ一覧

左端の記号がそのままコピーして使える文字です。テキストでも置いておきます。

∫ ∬ ∭ ∮ ∯ ∰ ∞ ∂

注意点として、$\oint$ の二重版 ∯(U+222F)と三重版 ∰(U+2230)はフォントによって表示されないことがあります。Word などに貼る場合は、表示を確認してから使ってください。日本語入力では「せきぶん」「いんてぐらる」で ∫ が変換候補に出ることが多いです。

早見表だけで用が足りることも多いですが、上下限の位置や重積分の書き分けなど、知らないと事故るポイントがあります。ここから先で一つずつ見ていきましょう。

前提知識

この記事を読む前に、以下の記事を読んでおくと理解が深まります。

不定積分の書き方

基本構文

不定積分は、積分記号 $\int$ の後に被積分関数を書き、最後に微分要素 $dx$ を付けます。「面積を細い短冊に分けて全部足し合わせる」というイメージの数式表現です。

$$ \int f(x) \, dx $$

$$
\int f(x) \, dx
$$

\int で積分記号 $\int$ を出力します。被積分関数と $dx$ の間の \, は薄いスペースで、見た目を整えるために入れます。この薄いスペースがあるかないかで可読性が大きく変わるため、習慣として入れることを推奨します。

ところで、なぜ積分記号があの細長い形をしているのでしょうか。これは Summa(和)の頭文字 S を縦に伸ばしたもので、ライプニッツが考案しました。つまり記号自体が「足し合わせ」を意味しています。

リーマン和から積分へ

$\int_0^3 (0.5x^2+1)\,dx$ を、短冊(長方形)の面積の和で近似したものです。$n=3$ では和が $7.375$ で、正確な値 $7.5$ から $0.125$ ずれています。$n$ を増やすと $7.4688$($n=6$)、$7.4972$($n=20$)、$7.49997$($n=200$)と近づき、誤差は $1.25\times10^{-1} \to 3.1\times10^{-2} \to 2.8\times10^{-3} \to 2.8\times10^{-5}$ と減っていきます。

短冊を無限に細くした極限が積分です。$\int$ が $\sum$ の連続版であり、$dx$ が「短冊の幅」の名残であることが図から読み取れます。記号の意味が分かっていると、$\, dx$ を書き忘れにくくなります。

具体例

いくつかの不定積分の例を見てみましょう。

$$ \int x^n \, dx = \frac{x^{n+1}}{n+1} + C \quad (n \neq -1) $$

$$
\int x^n \, dx = \frac{x^{n+1}}{n+1} + C \quad (n \neq -1)
$$

$$ \int e^x \, dx = e^x + C $$

$$ \int \frac{1}{x} \, dx = \ln|x| + C $$

積分定数 $C$ を忘れずに書くのが不定積分のルールです。

不定積分の書き方は以上です。次に、上端と下端を持つ定積分の書き方を見ていきましょう。

定積分の書き方

基本構文

定積分は \int の上付き文字と下付き文字で積分区間を指定します。

$$ \int_a^b f(x) \, dx $$

$$
\int_a^b f(x) \, dx
$$

_a が下端(下限)、^b が上端(上限)です。数式の構文上、下端と上端のどちらを先に書いても構いませんが、\int_a^b の順番が慣例的です。

上下限の位置

ブロック数式では、積分の上下限が積分記号の右肩と右下に配置されます(ディスプレイスタイル)。これはLaTeXの標準的な動作で、教科書でも一般的なレイアウトです。

$$ \int_0^\infty e^{-x} \, dx = 1 $$

$$
\int_0^\infty e^{-x} \, dx = 1
$$

$\infty$ は \infty で出力します。$0$ から $\infty$ までの積分は確率分布の正規化条件や、ラプラス変換などで頻出します。

\limits で上下限を真上・真下に配置

積分記号の真上と真下に上下限を配置したい場合は、\limits コマンドを使います。

$$ \int\limits_a^b f(x) \, dx $$

$$
\int\limits_a^b f(x) \, dx
$$

ただし、積分記号に \limits を使うのは慣習的にはあまり一般的ではありません。総和 $\sum$ や総乗 $\prod$ では \limits が標準ですが、積分では右肩・右下に配置するのが主流です。

3つのパターンを並べておきます。

上下限の位置3パターン

左が既定の配置で、上下限が記号の右肩と右下に付きます。中央が \limits を付けた場合で、真上と真下に移動します。右がインライン数式($...$ で行中に書いた場合)で、行の高さを抑えるために記号自体が小さく組まれます。

インラインでも大きく・真上真下に組みたいときは \displaystyle を併用します。ただし行間が広がって前後の行と干渉しやすいので、そうしたい式はブロック数式($$...$$)にするほうが読みやすくなります。

定積分は「符号つきの面積」

上下限を付けた定積分は面積を表しますが、正確には符号つきの面積です。

定積分は符号つき面積

左は $\int_0^{2\pi}\sin x\, dx$ です。$0$ から $\pi$ までの正の面積(シアン)と、$\pi$ から $2\pi$ までの負の面積(赤)がちょうど打ち消し合い、積分値は $0$ になります。「面積を求める」という言い方は、被積分関数が負になる区間では成り立たないことに注意してください。

右は評価記号の書き方です。$\int_0^{\pi}\sin x\,dx = \left[-\cos x\right]_0^{\pi} = 1-(-1) = 2$ のように、原始関数を大括弧で囲んで上下限を添えます。\left[\right] を使うと中身の高さに合わせて括弧が伸びるので、分数を含む式でも崩れません。素の [ ] だと背の低い括弧のまま組まれてしまいます。

定積分の評価記号

定積分を計算した結果を書くときは、評価記号(大括弧と上下端)を使います。

$$ \int_0^1 2x \, dx = \left[ x^2 \right]_0^1 = 1 – 0 = 1 $$

$$
\int_0^1 2x \, dx = \left[ x^2 \right]_0^1 = 1 - 0 = 1
$$

\left[\right] で括弧のサイズを自動調整し、_0^1 で評価区間を示しています。この表記は積分の導出過程を丁寧に書くときに欠かせません。

定積分の基本を押さえました。次に、2変数以上の関数を積分する重積分の書き方に進みましょう。

重積分

二重積分

2変数関数 $f(x, y)$ を領域 $D$ 上で積分する二重積分は、積分記号を2つ並べて書きます。立体の体積を求める場面や、2次元の確率密度関数を扱う場面で使います。

$$ \iint_D f(x, y) \, dA $$

$$
\iint_D f(x, y) \, dA
$$

\iint で二重積分記号 $\iint$ を出力します。$dA$ は面積要素で、直交座標では $dA = dx \, dy$ です。

累次積分の形で書くことも多いです。

$$ \iint_D f(x, y) \, dA = \int_a^b \int_{g_1(x)}^{g_2(x)} f(x, y) \, dy \, dx $$

$$
\iint_D f(x, y) \, dA = \int_a^b \int_{g_1(x)}^{g_2(x)} f(x, y) \, dy \, dx
$$

累次積分ではどちらの変数を先に積分するかで上下限の書き方が変わります。ここを混同すると式が意味を持たなくなるので、図で押さえておきましょう。

二重積分の累次化と積分順序

左が積分領域 $D$($y=x$ と $y=x^2$ で囲まれた部分)です。中央は $y$ を先に積分する場合で、縦の短冊を $x$ 方向に並べていくイメージになります。このとき $y$ の範囲は $x$ に依存して $x^2 \le y \le x$ となり、外側の $x$ は定数 $0 \le x \le 1$ です。

$$ \int_0^1 \int_{x^2}^{x} f(x,y) \, dy \, dx $$

右は $x$ を先に積分する場合で、横の短冊を $y$ 方向に並べます。$y = x^2$ を $x$ について解くと $x = \sqrt{y}$ なので、範囲は $y \le x \le \sqrt{y}$ になります。

$$ \int_0^1 \int_{y}^{\sqrt{y}} f(x,y) \, dx \, dy $$

内側の積分の上下限は外側の変数の関数になってよいが、外側の上下限は定数でなければならない——これが累次積分の書き方の原則です。LaTeX上は \int_0^1 \int_{x^2}^{x} \dots \, dy \, dx のように、$dy$ と $dx$ を内側から順に並べます。積分記号の順序と微分要素の順序が逆向きになる点は間違えやすいところです。

積分記号の間隔が詰まって見える場合は、\int_0^1\!\!\int_{x^2}^{x} のように \! で負のスペースを入れて調整します。

三重積分

3変数関数を立体領域 $V$ 上で積分する三重積分は \iiint を使います。

$$ \iiint_V f(x, y, z) \, dV $$

$$
\iiint_V f(x, y, z) \, dV
$$

$dV$ は体積要素で、直交座標では $dV = dx \, dy \, dz$ です。質量分布から全質量を求めるときなどに使います。

$n$ 重積分

一般に $n$ 重積分を書くには、\int\cdots とともに並べます。

$$ \idotsint_D f(x_1, \dots, x_n) \, dx_1 \cdots dx_n $$

$$
\idotsint_D f(x_1, \dots, x_n) \, dx_1 \cdots dx_n
$$

\idotsint はamsmath パッケージが提供するコマンドで、積分記号の間にドットが入ります。KaTeXでも利用可能です。

重積分の書き方を理解しました。次は、曲線や曲面に沿って積分する線積分・面積分の書き方を見ていきましょう。

線積分・面積分

線積分

曲線 $C$ に沿った線積分は、積分記号の下に曲線名を書きます。電磁気学で電場の仕事を計算するときや、複素解析で留数定理を使うときに登場します。

$$ \int_C \bm{F} \cdot d\bm{r} $$

$$
\int_C \bm{F} \cdot d\bm{r}
$$

$\bm{F}$ はベクトル場、$d\bm{r}$ は曲線に沿った微小変位ベクトルです。

スカラー場の線積分は次のように書きます。

$$ \int_C f(x, y) \, ds $$

$ds$ は弧長要素で、曲線の微小長さを表します。

面積分

曲面 $S$ 上の面積分は、二重積分記号に曲面名を付けて書きます。

$$ \iint_S \bm{F} \cdot d\bm{S} $$

$$
\iint_S \bm{F} \cdot d\bm{S}
$$

$d\bm{S}$ は面積要素ベクトル(法線方向を向いた微小面積ベクトル)です。ガウスの法則やストークスの定理で使います。

スカラー場の面積分は次のように書きます。

$$ \iint_S f(x, y, z) \, dS $$

$dS$ はスカラーの面積要素です。

線積分と面積分は「何に沿って足すか」が違うだけで、考え方は同じです。

線積分と面積分

左が線積分で、曲線 $C$ に沿って進みながら「進む向きのベクトル成分」を足していきます。$\bm{F} \cdot d\bm{r}$ の内積が「進む向きの成分」を取り出す役割です。物理的には「力 $\times$ 移動距離」で仕事を計算する操作にあたります。

右が面積分で、曲面 $S$ を貫く「法線方向の成分」を足していきます。$d\bm{S}$ は面に垂直な向きを持つ微小面積ベクトルなので、$\bm{F} \cdot d\bm{S}$ は「面をどれだけ突き抜けたか」(フラックス)になります。

記法の上では、線積分が $\int_C$(積分記号1つ)、面積分が $\iint_S$(2つ)です。1次元の対象に沿うか2次元の対象の上かで、記号の個数が変わると覚えると混同しません。

体積積分

三重積分を体積 $V$ の領域で行う体積積分も同様に書きます。

$$ \iiint_V \rho(\bm{r}) \, dV $$

密度 $\rho$ を体積 $V$ にわたって積分すると全質量が得られます。

線積分と面積分の書き方がわかりました。次に、閉曲線や閉曲面に沿った周回積分の記号を紹介します。

周回積分

閉曲線上の線積分

閉じた曲線に沿って一周する積分(周回積分)には、積分記号に丸($\oint$)を付けます。

$$ \oint_C \bm{F} \cdot d\bm{r} $$

$$
\oint_C \bm{F} \cdot d\bm{r}
$$

\oint で周回積分記号 $\oint$ を出力します。この記号は電磁気学のアンペールの法則やファラデーの法則で使われます。

$$ \oint_C \bm{B} \cdot d\bm{l} = \mu_0 I_{\text{enc}} $$

これはアンペールの法則で、閉曲線 $C$ に沿った磁場 $\bm{B}$ の線積分が、囲まれた電流 $I_{\text{enc}}$ に比例することを表しています。

周回積分には向きの約束がある

$\oint$ を使うときは、どちら向きに回るかを決めておく必要があります。

周回積分の向き

慣例では反時計回りを正にとります(左)。時計回りに回ると積分値の符号が反転します(右)。これは「右手の親指を $+z$ 方向に向けたとき、指が回る向き」という右手系の約束から来ています。

この向きの約束は、ストークスの定理

$$ \oint_C \bm{F} \cdot d\bm{r} = \iint_S (\nabla \times \bm{F}) \cdot d\bm{S} $$

で本質的に効きます。左辺の周回の向きと、右辺の面の法線の向きが右手系で対応していないと、符号が合わなくなるからです。

論文で向きを明示したいときは \oint_{C}^{\circlearrowleft} のように矢印記号を添えるか、本文で「$C$ は反時計回りに向き付ける」と一言書くのが親切です。

閉曲面上の面積分

閉じた曲面に沿った面積分も書く必要がある場合があります。LaTeX標準では \oiint コマンドがありませんが、以下の方法で対応できます。

方法1:\oint\!\!\oint を使う(二重周回積分の近似)

$$ \oint\!\!\oint_S \bm{E} \cdot d\bm{S} = \frac{Q}{\varepsilon_0} $$

$$
\oint\!\!\oint_S \bm{E} \cdot d\bm{S} = \frac{Q}{\varepsilon_0}
$$

\!\! は負のスペースで、2つの $\oint$ を近づけています。

方法2:通常の二重積分で代用

$$ \oiint_S \bm{E} \cdot d\bm{S} $$

KaTeXの一部のバージョンでは \oiint がサポートされている場合もあります。サポートされていない場合は方法1を使いましょう。

周回積分の記号を紹介しました。次に、積分の表記をきれいに整えるためのTipsを見ていきましょう。

積分表記のスタイリング

$dx$ の前にスペースを入れる

被積分関数と微分要素の間にスペースを入れると、数式が読みやすくなります。

$$ \int f(x) \, dx \quad \text{vs} \quad \int f(x)dx $$

左側のように \,(thin space)を入れるのが推奨されます。

dxの前のスペースとdの書体

1行目のようにスペースなしで書くと、$f(x)$ と $dx$ が続いて「$f(x)$ と $d$ と $x$ の積」に見えてしまいます。2行目の \, を入れた形が標準です。3行目は $d$ を \mathrm{d} で立体にしたもので、物理系の論文誌では「微分演算子は立体」という規定があることもあります。4行目の \; はやや広いスペースで、好みの範囲です。

\, は $1/6$ em 幅のスペースです。似たコマンドとして \:($2/9$ em)、\;($5/18$ em)、\!($-1/6$ em、負のスペース)があります。積分では \, を使い、記号を詰めたいときだけ \! を使う、と覚えておけば十分です。

% 推奨
\int f(x) \, dx

% 非推奨(スペースなし)
\int f(x)dx

被積分関数が複雑な場合

被積分関数が分数を含む場合、\displaystyle を使うと見やすくなります。

$$ \int_0^1 \frac{x^2}{1 + x^2} \, dx $$

$$
\int_0^1 \frac{x^2}{1 + x^2} \, dx
$$

ブロック数式($$...$$)では自動的に \displaystyle が適用されるため、通常は意識する必要はありません。

置換積分の表記

置換積分を書くときは、変数の置換関係を添えて書きます。

$$ \int f(g(x)) g'(x) \, dx = \int f(u) \, du \quad (u = g(x)) $$

$$
\int f(g(x)) g'(x) \, dx = \int f(u) \, du \quad (u = g(x))
$$

\quad で適切なスペースを入れてから、括弧で置換の定義を添えるスタイルです。

部分積分の表記

部分積分の公式も頻出するので書き方を押さえておきましょう。

$$ \int u \, dv = uv – \int v \, du $$

$$
\int u \, dv = uv - \int v \, du
$$

積分のスタイリングを学んだところで、KaTeXとの互換性について確認しておきましょう。

LaTeX vs KaTeX の注意点

積分記号に関して、KaTeXで注意すべき点をまとめます。

コマンド KaTeX対応 備考
\int 対応 基本の積分記号
\iint 対応 二重積分
\iiint 対応 三重積分
\oint 対応 周回積分
\idotsint 対応 $n$ 重積分
\limits 対応 上下限の位置変更
\oiint バージョンによる 閉曲面積分
\varoiint 非対応 代替手段を使用

基本的な積分記号はすべてKaTeXで使用可能です。\oiint などの特殊な記号がサポートされていない場合は、先述の \oint\!\!\oint で代用できます。

よくある間違いとTips

つまずきやすい4点を先に並べておきます。

積分でよくある4つの間違い

どれもコンパイルは通ってしまい、見た目だけが崩れるタイプの不具合です。特に3番目の \int\int は「一見それらしく見える」ので気づきにくく、\iint を使った場合と比べると2つの積分記号の間隔が広くなってしまいます。以下、それぞれを詳しく見ていきます。

間違い1:上下限の波括弧を忘れる

上端・下端が複数文字の場合、波括弧で囲まないと最初の1文字だけが上付き・下付きになります。

% NG: 0とnだけが上下限になり、-1が外に出る
\int_0^n-1 f(x) \, dx

% OK: 波括弧で囲む
\int_0^{n-1} f(x) \, dx

間違い2:$dx$ を斜体にしてしまう

数式モードでは $d$ はイタリック体(斜体)になりますが、これは通常の変数と同じ見た目になります。物理学のスタイルでは \mathrm{d} で立体にすることがあります。

% 一般的(イタリック体の d)
\int f(x) \, dx

% 物理学スタイル(立体の d)
\int f(x) \, \mathrm{d}x

どちらが正しいということはなく、分野の慣習に従ってください。

Tips:積分と総和の対比

連続量の積分 $\int$ と離散量の総和 $\sum$ は本質的に同じ操作(足し合わせ)の連続版と離散版です。LaTeXでも書き方が似ています。

$$ \text{連続: } \int_a^b f(x) \, dx \qquad \text{離散: } \sum_{k=a}^b f(k) $$

総和と積分の対応

左が離散の総和で、$k = 0, 1, \dots, 5$ における棒の高さを足しています(和 $= 15.0$)。右が連続の積分で、同じ関数の下の面積を測っています(面積 $= 12.5$)。値が一致しないのは、和が「棒の高さの単純な足し算」、積分が「幅を掛けた面積」だからです。$\sum$ に幅 $\Delta x$ を掛けて $\Delta x \to 0$ とした極限が $\int$ にあたります。

記号の対応も整理しておきます。

離散 連続
演算子 \sum $\sum$ \int $\int$
範囲の指定 \sum_{k=a}^{b} \int_a^b
上下限の既定位置 真上・真下 右肩・右下
変数の刻み なし(整数) dx
多重化 \sum_i \sum_j \iint

上下限の既定位置が $\sum$ と $\int$ で違うのは、単に組版の慣習です。$\sum$ は記号の幅が広いので真上真下に置いても違和感がなく、$\int$ は縦に細長いので右肩右下のほうが収まりが良い、という理由です。

この対応関係を意識しておくと、新しい積分表記に出会ったときにも直感的に理解できるでしょう。

まとめ

本記事では、LaTeXで積分記号を書くための方法を網羅的に解説しました。

  • 基本: \int で積分記号を書き、_a^b で上下限を指定する
  • 不定積分: \int f(x) \, dx で積分定数 $C$ を忘れずに
  • 重積分: \iint, \iiint, \idotsint で二重・三重・$n$ 重積分
  • 線積分・面積分: 曲線 $C$ や曲面 $S$ を下付き文字で指定
  • 周回積分: \oint で閉曲線上の積分
  • スタイリング: \, で $dx$ の前にスペースを入れる

積分記号は数学・物理・工学で最も頻繁に使われる記号の一つです。本記事の表記法を身につけて、美しい数式を書きましょう。

次のステップとして、以下の記事も参考にしてください。

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