地理情報を扱うための規格や測地系、座標系を理解する

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地理空間データを勉強すると、測地系・座標系・投影法 といった用語が多く登場し、非常に混乱すると思います。

しかし、これらの概念の違いについて正しく理解しないと、それぞれの用語がどの部分のことを表現しているのか、混乱してしまいます。これらの用語をまず理解するためには、地球は楕円形をしているという前提について理解し、これらの前提をどのように地理データとして表現しているのか、という流れに沿って理解すると整理しやすいかと思います。

今回は、地球上の位置情報がどのように表現されているか、基本的なことが理解できるよう、わかりやすく解説をしていきます。

本記事の内容
  • 地球の形状は楕円形でできている
  • 地球の楕円形を表現する規格について
  • 測地系とは?種類や定義について解説
  • 座標系・投影法について解説

地球の形状は楕円形

まず地球上の位置情報を表現する様々な規格がある理由について、これらは歴史的な経緯もありますし、地球の形状が現在でも正確にわかっておらず、諸説あるという理由からもあります。

一般的に地球は丸いと言われていますが、地球が自転していることもあり、地球は楕円を回転させた回転楕円体の形状をしています。

回転楕円体は正確には、楕円の短軸方向に回転させた時にできる曲面として定義されています。

楕円は上図のように、 長い方の半径である長半径$a$と、短い半径である短半径$b$で定義されます。

この時、回転楕円体(spheroid)の長半径を赤道半径、短半径を、極半径ということがあります。

基本的に楕円は、長半径$a$と短半径$b$で定義することができますが、扁平率$f$(へんぺいりつ、Oblateness)、または離心率$e^2$を用いて表現されることもあります。

扁平率$f$と離心率$e^2$の定義は次のようになっています。

まず扁平率の定義です。

扁平率$f$の定義
\begin{equation}
f = \frac{a-b}{a}
\end{equation}

扁平率$f$の分母は長半径で、分子は長半径と短半径の差になっています。なので、扁平率は、長軸方向にどれだけ楕円が伸びているかを表現する数になっています。

地球の楕円を表現する際には、基本的に扁平率は小数のかなり小さな値となってしまうので、逆数の$\frac{1}{f}$を用いて表現することが多くなっています。

続いて、離心率$e^2$の定義です。

離心率$e^2$の定義
\begin{equation}
e^2 = \frac{a^2 - b^2}{a^2}
\end{equation}

扁平率と離心率はほとんど表現している量が似ています。離心率は扁平率の全ての項が二乗になっているだけですね。

楕円のように歪んでいない正確な球の場合は$a = b$となり、その定義から、扁平率、離心率ともにその値は0になります。

また楕円を表現する場合に、扁平率、離心率の他に、アスペクト比$\frac{a}{b}$が用いられることもあります。

地球を表現する楕円体の規格

先ほど、地球は楕円形をしていると言いましたが、測量がおこなわれはじめた1800年代には、各国が様々な基準を用いて、地球の楕円形を予想し、その結果を測量してきました。

しかし、現代こそGPS衛星等によって正確に測量ができるようになったものの、1800年代にはGPS衛星は当然存在しておらず、そのため人間による測量によって、世界中の様々な機関が独立に、地球の楕円形を測定してきました。

そのような歴史的な経緯から、地球を表現する楕円体の規格はいくつかあるのが実情ですが、ここでは現代のGIS情報を利用するのに必要な規格だけをかいつまんで解説していきます。

ベッセル楕円体

1941年には、国際的にベッセル楕円体という規格が世界中で広く利用されるようになり、それに基づいた測地系(後で解説しますが、緯度経度の規格のようなものです)が、世界中で、開発されるようになってきました。

ベッセル楕円体は広く利用されてきましたが、1950年以降人工衛星が打ち上げられるようになり、衛星からGPS信号によって正確に位置情報がわかるようになり、地球の正確な楕円形上がわかるようにな理、楕円体の規格が更新されるようになりました。そしてこれが現代でも使われているGRS80楕円体の規格です。

GRS80楕円体

GPSの信号を利用した新しい楕円体の定義を、GRS80楕円体として定義され、現在の世界基準として用いられています。

細かい数字まで覚える必要は一切ありませんが、GRS楕円体では、地球の長半径(赤道半径)を、6,378,137 m、つまり、半径6378.1kmとし、$扁平率を \frac{1}{298.257}$としています。

扁平率まで覚える必要はありませんが、地球の半径は6378kmくらいというのは覚えておいた方が良い雨かもしれないですね。

ここまでで、地球が楕円体をしていることと、現在ではその楕円形を表現する規格としてGRS80楕円体という規格があることまで説明してきました。

扁平率や離心率など覚えることも多くありますが、ここまでは前座です。続いて、地球上の位置情報をどのように表現するのか、について本格的に入っていきます。

測地系とは?定義や種類について

GIS情報を理解するためには、まず測地系について理解する必要性があります。

測地系とは、聞きなれない単語かもしれませんが、地球上の座標を経度・緯度・高さで表現する際の、基準とする前提条件のことです。前提条件なので、様々な種類があります。

シンプルに理解するなら、地球上の点を緯度経度高さで表現するのは良いとして、その座標系の原点や軸をどのように取るかによって、その座標の値は全然違う値に変わってしまうというのはわかりますよね?そのため、地球上の位置を緯度経度で表現するときは、どの測地系での値なのかを常に意識する必要性があります。

測地系は元来日本が明治時代から、独自でおこなってきた、日本測地系(Tokyo)という測地系で利用されてきました。他の国でも、それぞれの国で独自に発展させてきたので、これを全世界で合わせこむにはどうするか?という問題が生じたために、全世界で利用できる測地系を作ろうとしたのが始まりです。

世界測地系も時代や用途によって様々な規格ができていますが、主にITRF、WGS、PZ系の主に3種類が利用されています。

ITRFは、日本をはじめ多くの国々で陸域を表現する測地系として用いられており、海域で船舶が用いる測地系としてWGSが広く利用されています。測地系の中でもバージョン毎に番号が振られており、有名なものとしてWGS84(World Geodetic System of 1984) 等があります。

WGSは元々GPSを開発した米軍が利用していた測地系ですが、GPSが民間でも解放されたこともあり、近年ではWGS84の測地系が広く利用されています。

国際地球基準座標系(ITRF)

国際地球基準座標系(International Terrestrial Reference Frane, ITRF)は先ほども説明したように、現在国際的に広く利用されている座標系の1つです。ITRFは地球の中心を原点とし、X軸方向を本初子午線と赤道の交点の方向にとり、Y軸を赤道と東経90度の方向にとり、Z軸方向を、地球の自転する軸方向にとる座標系です。

現在は、ITRFを発展させた、JGD2000という名前がついています。

WGS84 測地系

WGSは現代で最も広く利用されている測地系です。

先ほども書きましたが、WGSは元々米軍で開発されたGPS用の測地系でした。しかし、現在はJGD2000とWGS84の測地系の差はほとんどないため、これらの値を取り違えたとしてもあまり問題はないという実態となっています。

ここまでで測地系についてまとめてきました。

現在は、JGD2000かWGS84の測地系が利用されていますが、基本的にこれらは地球の楕円形上をGRS80楕円体を採用しており、これらの測地系の間での誤差もほとんどないということを覚えていけば良いでしょう。

ここまでで測地系のまとめは終わりです。続いて座標系の話に入っていきます。

座標系(地理座標系)の定義や目的、種類について解説

ここまでで、地球は回転楕円体の形状をしていること、また、どのような回転楕円体に基づいて地球を定義するかによって、測地系が異なるという話をしました。

続いて、座標系という話が登場します。

座標系は、座標参照系(Coordinate Reference System, CRS)とも呼ばれていますが、端的にいうと、地球上の座標を数字で表現する際の定義になります。

具体的には、どこに原点を取るか?座標の軸をどこに取るか?座標の単位は何にするか?などが関わってきます。

座標系には大きく、地球を球体と見做した「地理座標系」と、地球の一部を表面に投影した「投影座標系」があります。地理座標系は、地球を地球儀のイメージとして捉え、投影座標系は、地球を地図のように捉える座標系で、これらは相互変換ができます。続いて、これらについて解説してきます。

地理座標系(GCS)とは

地理座標系とは、地球上の位置を緯度経度で表現する座標系です。多くの場合、単位はラジアン(度数)となっています。地球上のすべての位置は、緯度と経度で表現することができます。

投影座標系とは

一般的に投影座標系は、楕円形である地球上に投影したような座標系の取り方をしています。いわゆる、メルカトル図法のような座標系は、投影座標系に相当します。

まとめ

ここまでで、GISを理解するために必要な座標系についてまとめてきました。

地理データを用いた分析やソフトウェアを実装する際には、座標系同士の変換や空間演算などをすることが多いので、座標系について概要を理解していると良いでしょう。

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